スタジオ宙

2021年6月の記事

郡裕美展「壁の向こうへ、」7/3-8/1@ギャラリー日本橋の家(大阪)

— Beyond Invisible Wall, Yumi Kori installation @Gallery Nipponbashi Osaka —

建築家/美術家である郡裕美(こおりゆみ)が、ギャラリー日本橋の家で展覧会を行います。

初日の7月3日は5時からギャラリートークと、その後、簡単なレセプションを考えています。(検温、消毒、コロナ対策万全にしてます。マスク着用でおいでください。)

トークに参加ご希望の方はこちらで予約 https://kori.peatix.com ください。

昨年より続くパンデミック下、「ステイホーム」や「ソーシャルディスタンス」が推奨され、他人とのコミュニケーションを絶つ生活が続いています。そんな「新しい生活様式」の中で、人々は自分の殻に閉じこもり、身体感覚が鈍っていき、世界とのリアルな繋がりが希薄になっています。でもこのコロナ禍、私たちが感じている閉塞感は、物理的な壁のせいではなく、自分や社会が作る「見えない境界」に閉じ込められている感覚のような気がします。

今回の展覧会では、そんな「境界」について再考し、閉塞感の中に微睡んでいる私たちの身体が覚醒することを企てを考えました。壁はそこに本当に存在するのだろうか?突き当たりだと思っている先に、本当は隠れた広がりがあるのではないだろうか?非常事態宣言がやっと解除された今、この展覧会がパンデミック後の新しい世界で生きる力を育むきっかけになることを祈願します。

郡 裕美

郡は、1997年より建築設計と平行して空間アートを作り始め、ニューヨーク、ベルリン、東京、サンパウロ、バーゼルなど、世界各地で作品を発表してきました。彼女のインスタレーションは、観客が作品の中に入って自由に歩き回り、五感を通じてそこに現れた新しい空間を体感する新しいタイプの作品です。日常に潜む隠れた空間層を発見し、そこにインスタレーションを施すことで、当たり前だと思っている空間が全く違って見え、人々の固定概念を一蹴することを企てます。彼女の作品は、既存空間にリスポンスするサイトスペシフィックであることが特徴で、今まで東ベルリンの地下貯水場跡やブラジルはサルバドールの旧砂糖工場の独房跡、廃館となった旧武蔵野市立図書館跡など、場の記憶をテーマにした作品を多く作ってきました。一方、銀座メゾンエルメス(レンゾピアノ設計)やクリチバの美術館(オスカーニーマイヤー設計)など有名建築家の作品に呼応した空間作品も多く発表しています。

京都府立大学を卒業後、アルテック建築研究所勤務を経て、1991 年にスタジオ宙一級建築士事務所を遠藤敏也と共同設立。空間を体験した人がその美しさ、楽しさに感動できる建築をめざし、住宅やコミュニティ施設の設計の他、古民家再生や町並み修景デザインも行う。千葉県香取市佐原の伝統的建造物群保存地区の再生と新たな価値の発見に対して2015年度建築学会賞(業績)。また、2011年アジア建築家評議会アルカシアゴールドメダル受賞など、国内外の様々な建築賞を受賞。

また、1995 年コロンビア大学建築学部修士課程終了の翌年よりコロンビア大学准助教授に就任。ニューヨークに拠点を設け、イエール大学、パーソンズ・スクール・オブ・アート、東京理科大、名古屋工業大学ななど、日米両国で建築教育に携わる。2016年度より大阪工業大学R&D工学部空間デザイン学科の教授に就任。

今回の展覧会開催にあたっては大阪工業大学郡裕美研究室と共に様々な空間実験を重ねました。コロナ禍の状況から思うように活動ができませんでしたが、研究室の有志学生の中村翔太と嶋田陸が中心となって結成したアーティストユニットmukuとakihitoの作品も同時に展示をします。

投稿者:Yumi Kori |  展覧会情報 Exhibition Info, 美術の仕事 Art, Stage Design |  記事本文

香風居(西宮の家)が完成しました。

— House in Nishinomiya Completed —

一昨年より私たちが設計監理させていただいた住宅が竣工致しました。

敷地は、神戸港から大阪湾、紀伊半島まで一望できる高台にあり、西側には六甲山系の山々が広がります。


1階は地面との繋がりを重視し、庭の木々や草花を楽しむ空間としました。

主な生活空間は2階に浮かせて、景色を満喫する計画にしました。


建主は、ジョージナカシマの家具のコレクターで、この家のためにアメリカから運んだ家具の一部も居心地よく配されています。


建主の生活拠点がアメリカだったため、コロナ禍の中、工事契約や地鎮祭、上棟式も全てリモートで行いました。神主がタブレット画面に向かってお祓いをしたり、スマホで建物を映しながら打ち合わせをしたり、今までとは違う経験をさせていただき、とても思い出深い作品となりました。

投稿者:Toshiya Endo |  建物の完成 Project Completion |  記事本文