都市の隠れ家「アーバンリゾートハウス」竣工。
— Urban Resort House in Tokyo Completed —
私たちが設計監理してまいりました住宅が竣工しました。
眺望を楽しめる高台の敷地で、都心でもリゾートにいるような暮らしがしたいというオーナーの夢をかなえるべく、シンプルで居心地の良い住まいを設計しました。半地下と1階は、鉄筋コンクリート造、2階は木造とし、各階で、違う雰囲気が感じられる空間です。
最上階は、LDKと子供の勉強やホームオフィスとして使えるゆったりとした空間としました。大屋根の頂点に天窓があり、家のどこにいても晴れやかな光と爽やかな風が感じられます。パノラマのように広がる景色を楽しみながら、互いの気配を感じながら、家族が自由に過ごせる場所です。家の真ん中にある高窓は、この家のシンボル的な存在です。日本の伝統的な越屋根に着想を得たものですが、電動で開閉できるため、夏は暑い空気を排出してくれる重要な環境装置にもなっています。
特注の木製の防火サッシを使うことで、柱、梁、屋根、インテリアが同じ質感と雰囲気になり、統一感が生まれました。塗装は現場で植物油脂由来のドイツ製のオスモを使用、特注で作ったキッチンや食器棚とも色や質感が揃っています。
住まいの中心に配した階段は、住まいの核になり、家族の関係をつなぎます。間仕切り引き戸を閉めるとこのように、階段室には凛とした空気が生まれます。建具は斜めの細い木材をガラリ状に組み合わせてデザインしたので、隙間から入る微かな光が美しく、閉じていても全く閉塞感がありません。また、鉄骨階段も、光を通す軽やかなデザインで設計しました。階段越しに庭の風景も楽しめます。
エントランスのある半地下には、水庭のあるサロンがあります。一段下がったところに、天窓からの光が美しいホテルのスイートような寝室があります。突き当りが明るいと、地下室なのにちっとも暗くなくて、むしろ隠れ家ような落ち着いた場所になります。間仕切り代わりの透けた本棚には本や、好きなものを飾るギャラリーになります。寝室の延長としてくつろぎの場所としても使えます。
本棚の後ろの間仕切りを締めれば、寝室はサロンから切り離され、プライバシーが守れるため、ちょっとした接客やギャラリー空間、ホームオフィスにも使えます。水庭は、水に濡れるとエメラルドグリーンに色づく伊豆若草石を用い、自動濾過器を通して小さな吐水口から落ちる水がゆらゆら光の影を作り出します。夜は水中照明に反射した不思議な水を楽しみます。
庭に面した1階には小上がりのあるフリースペース。将来は子供室に使う予定。使い方に合わせて自由に空間を仕切れるように、固定の間仕切りを極力なくしました。引き戸を開ければ、中央に配した階段の周りに、ゆったりした空間が広がります。透けた階段で2つの空間を柔らかく繋ぎ、手すりの代わりにもなる本棚をデザインしました。
小上がりは、マットレスを敷いたりクッションを置いたりして、ベッドとしても、ソファーとしても使えます。下には大きな引き出し収納も作りました。
子供が大きくなったらここを子供部屋にする予定です。一人になりたいときは、間仕切りを締めれば、プライバシーが守れ、1階には2つの部屋が現れます。庭に面した落ち着いた個室は、ゆっくりした思索の場にピッタリです。
2階は眺めの良いLDK。
天井は音を柔らかく吸収し、調湿機能もある葦材、床はライムストーン、壁は、深みのある城を感じる本物の漆喰を使いました。石の床は冷たいと思うかもしれませんが、蓄熱効果があって床暖房にはぴったりです。また、白い床に反射した光は、不思議な浮遊感を生み出し、なんとも言えない心地よさが生まれます。
ゆったりした時間の流れの中で、階段を登るたびに違う世界が広がるこの住まいには、いつも気持ちの良い風と光が溢れています。
投稿者:Yumi Kori | 建物の完成 Project Completion | 記事本文