YUMI KORI ART WORKS

『建築』 カテゴリーの記事

料理を通して建築を学ぶ?

— Leaning Architecture through Cooking! —

先日のBBQでの出来事。教え子の建築学科の学生に準備を手伝って貰った。
「カボチャを蒸すから、3センチ角ぐらいの大きさに均等に切ってね。」簡単な事だと思って気軽に頼んのだが、その成果物に目を丸くした。5分後にまな板の上に並んでいたカボチャは、厚みが1センチから3センチくらいまで、まちまちだ。
「え?これじゃ、調理時間に個体差ができすぎて困るよ。ほら、蒸し器をみてよ。蒸気が均等に当たって、表面から内部に伝わる熱が同じになるように切らなければ、柔らかいところと堅いところの差がありすぎてうまく火が通らないよ。」
そんな当たり前のこと、まさか説明しなければならないとは、思いもしなかった。
「カボチャのひと切れ、それぞれの容積が均等か、いやいや体積だけの問題ではない。表面から内部への距離感が同じくらいか。」
自分が今までそれらを瞬時に判断しながら、野菜に包丁を入れていたとは気がつかなかった。
でも、この感覚、建築にも通じるんだよね。
たとえば、部屋の容積と光の関係。障子で囲まれた部屋があるとしよう。カボチャの表面から蒸気が入り込むように、障子を通して光が浸透する様子を想像してみてほしい。同じ容積の部屋でも丸い部屋と、細長い部屋とでは、中心部の明るさは全く違う。
あー、こういう当たり前のこと、人は日常生活の経験を通して学んでいくんだなあー。
学生には、建築教育とか大学で学ぶ「学問」だけでなく、いろんな事をする機会を作ってあげたいものだと、つくづく思った。

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Green Airplane 緑のプチプチで境界を越える。

— Green Sheets create new Space and Relationship between Sidewalk and Interior, to Break through Invisible Wall. —


今日は、Green Airplaneインスタレーションの空間設計について話してみたい。紙飛行機を使ってガラスの壁を「覚醒」させただけでなく、床に緑の帯状のシートを張ることによっても、ガラスの境界性に揺さぶりをかけた。緑のシートは 川上産業から提供いただいたプチプチ。浮遊感のある素材な上、足の踏み心地も抜群。半透明なカーペットみたいで可愛かった。
たった2本の緑のシートを床に敷いただけでその間に関係性ができ、新しい場が生まれ、それに誘われるかのように、私たち人間にも、ささやかな新しい「つながり」が生まれた。

まず、会場の床の真ん中に直線に緑のシートを張り、部屋の中に緑の領域を作った。そして、建物前面の歩道にも緑のシートを帯状に張る。すると、その2本の帯の間にほんのり緑に染まった「場」が立ち現れ、今までガラスの壁で分断されていた内と外が、少しだけつながったような気がした。 そして、建物の内側からガラスに向かってみんなで紙飛行機を飛ばす。すると、時折、飛行機がその透明の壁をつき抜けたかのように、通行人がこちらを不思議そうに見つめる。そんなとき、ガラスの箱の中にいる私たちと見知らぬ人の間に言葉のない会話が生まれ、一瞬、透明の壁が溶けた様な気がした。

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Green Airplane インスタレーション大盛況!

— Green Airplane, Installation by Yumi Kori + Studio X Tokyo, Graduate school of Architecture, Planning and Preservation, Columbia University, New York. —


8月8日に行ったGreen Airplane インスタレーションのご報告です。
これは、コロンビア大学の大学院の東京の研究拠点Tokyo X studioの活動の一環で企画が実現したもので、「見えない壁を突き抜ける」というのが副題。
蒸し暑い夏の午後、完全空調されたガラス張りのビルの一階にて、参加者みんなで、紙飛行機を折り、ガラスに向かってそれを飛ばす Installationをした。
さて、ガラスに当たって次々と落ちる飛行機を見て不可能性を感じるか、その見えない壁の存在を改めて考えてみることによって何かが変わり、私達が救われるきっかけになるのか…。

最近、ガラスというボキャブラリーが建築の中でひどく安易に使われていて、建築設計者も建築学科の学生も結構、無神経に多用している。外壁をガラスにすれば公共施設が町に開かれているとか、ガラスにして外の景色が見えれば自然とつながるとか、、。今回のプロジェクトは、コロンビア大学の建築学科のスタジオの一環ということもあり、ガラスのもっている拒絶性、不可能性みたいなことを、アートインスタレーションを通じて再認識できるといいなと思った。
学生だけでなく、参加してくれた人みんなが、ガラスという透明の壁に対して、内と外を隔てる境界に対して、自分と世界との関係について、なにか新しい視点を持って返ってくれ、こんな小さな遊びから、今の社会の閉塞状況を変える一歩が始まるといいなと思った。

しかし、ほんと、久しぶりに楽かったあ!
このスライドショー(1分40秒)をみていただけると、インスタレーションの様子がわかります!

いっしょに参加して遊んでくださった皆様、学生さん、本当にありがとう!
コロンビア大学建築学科スタジオX東京の廣瀬大祐さんの全面的なサポートのおかげで、実現できました。心から感謝します。コロンビア大学の工藤国男先生、サポートありがとうございました。

それから、会場提供をしてくださった Shibaura House 株式会社 広告製版社様、
床プチプチシート提供 川上産業株式会社 プチプチ文化研究所様、お世話になりました。

Green Airplane – Breaking through Invisible Wall –
2012. August 8th @ Shibaura House, Tokyo
Installation by Yumi Kori + Studio X Tokyo, Graduate school of Architecture, Planning and Preservation, Columbia University, New York.

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みどりの紙飛行機、準備会議にて。

— Green Airplane Preparation with prof.Kudo, Columbia University. —


来週8月8日、久しぶりに東京でアートプロジェクトをやる。Green Airplane という参加型アートだ。場所は、田町駅から徒歩7分Shibaura House。2時ワークショップ。4時講演会。5時インスタレーション。
コロンビア大学の建築学科の大学院の東京拠点Tokyo-X studio の主催で、私の講演会も同時に開催する。詳しい情報はこちら
さて、これは、そのイベントの準備会議。私とTokyo-X studio ディレクターの廣瀬大祐さんと2人で打合せをしている間、コロンビア大学教授の工藤国男先生が次々に違うかたちの飛行機を折り始めた。それを見ていたら、このアートプロジェクトが大成功しそうな気がしてきた。だって、工藤先生が自分の手を動かしてものをつくっているのを見るのは始めてで、しかも、その表情は子どものように楽しそうなんだもの。
イベントは、8月8日。あと残すところ4日。
緑の紙、緑のTシャツ、緑のテープ、緑茶、パーティー用のワインを注文したり、、、毎日、大忙し。もちろん、講演会の準備も着々と進めています。

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アートと農業の出会い

— Art in Farm —


ランドスケープ・デザイナーの井上洋司さんのお誘いで、西部立川で行われたArt in Farm に参加した。農地の今日的意義を、アートを通じて模索・提唱していく運動だという。農地に「風を感じるアート作品」が設置され、そこでコンサートを楽しんだ。
しかし、なんといっても畑から自分で野菜を収穫するという方式の野菜の即売会が、ワイルドで超刺激的だった。ニンジンをズボッと大地から引っこ抜いた、その土の感触が今も手に残っている。帰宅して早速作ったニンジンサラダは、甘くって本当に美味しかった。

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ドアのデザイン=空間のデザインをすること。

— Designing Door means Designing Space and Experience. —


「リビングに入るドアのデザインどうしたらいいかしら?」久しぶりにあった友人に相談された。現在、ボストンで自宅の改装中ということ。しかし、ドアのデザインのアドバイスというのは、結構むつかしい。もちろん、ドアは面だからグラフィックのように面的なデザインをすることができる。でも、ドアはその向こうにある部屋の気配をどのくらい感じさせるかという、空間を考慮してデザインするべきだ。さらに、ドアは、こちら側と向こう側の世界をつなぐものだから、時間を伴う空間認識の発想をもってデザインをする必要がある。…つまり、ドアのデザインをするということは、面であり、空間であり、時間のデザインをするということである。

これは、私が以前、改装設計させていただいたH邸のリビングの写真。居間の一角にあるドアをどんなデザインにするべきか、悶々と悩んだ。結果、梨地のようなタペストリーガラスのミニマルな引戸にすることに。あえて面的なデザインをするのはやめて、枠や取っ手などのデティールを消した。そして、光を柔らかく通し、むこう側の世界に淡いあこがれと、物語の予感だけを感じられるような、そんな空間感のあるドアを提案した。

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映画 My House で見たホームレスの創造的生活。

— Movie "My house" by Tsusumi, introduce a creative life of Homeless. —

「海の幸、山の幸があるように、ゴミは町の幸…」と言いながら、町に転がっている「廃材」で家を造り、「ゴミ」で家財道具をそろえ、「使用済み」の車のバッテリーで電気を得、「自立した生活」を送るホームレスの鈴本さんの生活と、あるサラリーマン家族の「消費しながらゴミを出し続ける普通の生活」を対比しながら、現代の生き方について考えさせられる映画。いつも家の中の掃除や洗濯ばかりしている主婦の姿を見ていたら、掃除するということは「他者の排除すること」だと再認識。それにくらべて、ゴミを有効に使うホームレスの暮らしは「他者との共存する生き方」に見えてきた。社会からはみ出した者が、より社会的であるという皮肉を感じた。
TOKYOゼロ円ハウス(坂口恭平著)を元にして、堤幸彦監督が作った映画らしいが、ロケ地が名古屋ということ、また、白黒映画であることで時代や場所の設定がよくわからないところが、いいなと思った。
家って何だろう、暮らしってなんだろう。様々なことを考えさせてくれるいい映画だった。建築業に関わる人も、一般の人も、一見の価値あり。5月26日封切り、現在、上映中の映画館は、
MY HOUSE のwebsite http://myhouse-movie.com/ でわかるかな?

投稿者:yumi |  アート, 建築 |  記事本文

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