ランドスケープ・デザイナーの井上洋司さんのお誘いで、西部立川で行われたArt in Farm に参加した。農地の今日的意義を、アートを通じて模索・提唱していく運動だという。農地に「風を感じるアート作品」が設置され、そこでコンサートを楽しんだ。
しかし、なんといっても畑から自分で野菜を収穫するという方式の野菜の即売会が、ワイルドで超刺激的だった。ニンジンをズボッと大地から引っこ抜いた、その土の感触が今も手に残っている。帰宅して早速作ったニンジンサラダは、甘くって本当に美味しかった。
「海の幸、山の幸があるように、ゴミは町の幸…」と言いながら、町に転がっている「廃材」で家を造り、「ゴミ」で家財道具をそろえ、「使用済み」の車のバッテリーで電気を得、「自立した生活」を送るホームレスの鈴本さんの生活と、あるサラリーマン家族の「消費しながらゴミを出し続ける普通の生活」を対比しながら、現代の生き方について考えさせられる映画。いつも家の中の掃除や洗濯ばかりしている主婦の姿を見ていたら、掃除するということは「他者の排除すること」だと再認識。それにくらべて、ゴミを有効に使うホームレスの暮らしは「他者との共存する生き方」に見えてきた。社会からはみ出した者が、より社会的であるという皮肉を感じた。
TOKYOゼロ円ハウス(坂口恭平著)を元にして、堤幸彦監督が作った映画らしいが、ロケ地が名古屋ということ、また、白黒映画であることで時代や場所の設定がよくわからないところが、いいなと思った。
家って何だろう、暮らしってなんだろう。様々なことを考えさせてくれるいい映画だった。建築業に関わる人も、一般の人も、一見の価値あり。5月26日封切り、現在、上映中の映画館は、
MY HOUSE のwebsite http://myhouse-movie.com/ でわかるかな?
これは、先日、ニューヨークにある、Museum of Art and Design で見たアート作品。銀色に光るロープは、ポールとポールを結び、互いに絡み合っている。それは、まるで人と人の絆を表現した作品に見えた。でも、最初はステンレス製か銀製の作品かと思ったが、よくみるとシルバー色に光って見えるのは金属ではなくて、シルバーコーティングされたガラス製。
なるほど。作者の意図がだんだんわかってきた。(といってもコンセプト文を読んだわけではないので、私の単なる曲解である可能性は大。)一瞬、頑丈に見える互いの絆も、実は、簡単に粉々に壊れてしまうかもしれない硝子のようなもの…だということを言いたかったのかしら…?。
形と素材、両方がいっしょになって意味を表現した、興味深い立体アート作品だと思った。
展覧会:「終焉をめぐって」 by ホセ・ルイス・フェリイニャス
会期:2012年5月15日(火)~31日(木)
場所:小出由紀子事務所 東京都千代田区鍛冶町1-10-4 丸石ビル301
http://www.yukikokoide.com/
New York の画廊 Miyako Yoshinaga(私が一昨年展覧会をした素敵なgalleryです!)との協力企画。ハバナ出身のキューバ人アーチストの作品で、世界の創世を示唆するような暗示的な絵画が、繊細な筆遣いで描かれていた。
展覧会も良いのだけれど、小出さんの事務所のある丸石ビルの建物もまたすばらしかった。入り口に立つ2体のライオン像は、どこか生真面目さを感じさせ、なんだか日本風。若い頃のジャングル大帝レオを思いだした。時間のある方は、是非、お出かけください。