夏夢 Infinity Device/ Gion
建築は旅の装置。
障子や簾戸が室を作り、層を重ねてオクへ伸びる時間と空間。
町家空間の奥行きに青い光を挿入し、
どこまでも続く時の流れを感じる作品を作りたいと思った。
坪庭の向こうのはなれの青い光、
網代の上を流れ出し、
未知の世界へとわたしを誘う。
もともとお茶屋さんだったこの家は、
京の町家の特徴に倣い、間口が狭く奥行きが深い。
振り返るとオモテの光も網代の上をすべり、
幾重もの簾戸を抜け、奥庭の冷んやりした光とゆっくり溶け合う。
表の間に座ってトオリを見れば、
東山まで突き抜ける町の風景が
格子を通り抜けた光と戯れ
シネマのように展開する。
奥の光と表の光が出会う場所に
そっと「刻の雫」を置く。
手拭きガラスの中に閉じ込めた私の息が
小さな小宇宙となり
格子の向こうに広がる町の風景を映し込む。
後ろを振り返れば、夏夢の
青の世界もガラスの中の気泡の中に
静かに息づく。
●Floating Frame
マテリアル:アクリル
町家のオクとオモテ
格子の内外の世界のつなぐ窓として、
小さなアクリルフレームを設置した。
古くからお茶屋さんが並ぶ京都花見小路の町並みは閉鎖的だ。
駒寄せ、格子、簾などで覆われた建物の外観から、内側の様子は全く見えない。
「祇をん小西」の建物も例外ではない。
町家の格子は視線をコントロールする。
外から建物の中はよく見えないが、室内からは町の景色がよく見える。
ウチからの視線は、格子の先の町の光景を通り越し、
東山の風景まで突き抜ける。
●コンセプト ドローイング
これは「祇をん小西」の平面図と断面図
オモテとオクとを結ぶ 東西の軸に対応して、
玄関にInfinity Device 、土間に映像作品 uatatane/GIONを設置し、
南北の軸を表した。町家の町との関係性を感じられる作品を作りたいと思った。
●Infinity Device
マテリアル:アクリル、ミュージーアムボード
これは、持ち運びできる携帯無限装置。
小さな箱の中に現れる光と陰で無限の空間。
光の門を覗き込めば、
町家の宇宙の広がりと同じく、
奥へ奥へと空間が伸びていく
● utatane/ GION
マテリアル: LEDモニター、紙、アクリル
Special Thanks to Sacatar Faoundation and Taylor Van Horne
ブラジルの古都サルバドール近くのイタパリカ島で撮った映像のインスタレーション。
東西、南北、そして天と地と、
この町家が、世界とつながっている感覚を感じてほしいと思った。
●刻の雫
マテリアル:手吹きガラス、ナイロン、木材
Special Thanks to Urban Glass, New York
フレームから覗くと「刻の雫」の中に息づく青い世界が見える。
このガラス作品は2009年にニューヨークのガラス工房で作ったもの。
「刻の雫」の真下には、もうひとつのFloating Frame とミラーを設置。
空を映す井戸のように、「刻の雫」が天と地をのつながりを表す。
●ドローイング「夏夢」
町家空間の奥行きだけを見つめて
手描きしたドローイングをデジタル化した作品。
●展覧会情報
郡 裕美+小西いく子
夏夢 Infinity Device / GION
7月13日(土) – 21日(日)13:00~19:00 (最終日 13:00-17:00)
祇をん小西 京都市東山区祇園町南側570-121gionkonishi.com
TEL 075-561-1213
This is a site-specific installation in an Old Machiya House in Kyoto. I use architecture as a traveling device to explore “Infinity Space”. Gion Konishi, a former teahouse, has a narrow frontage and deep interior, as is typical of Machiya houses in Kyoto. The light from the front slips through the lattice, slides over the Ajiro carpet passes through the many layers of lead screen doors, and slowly blends with the quiet light in the back garden. When one sits in the back tatami room and looks towards the street, the scenery leading to the Higashiyama Mountains unfolds like a cinema. Architecture is a traveling device. Shoji and sliding doors suggest rooms and layers of time and space extend to the Oku depth. I installed blue light into the depths of the Machiya space and created the endless flow of time. I dreamed of the light of the future overlapping the shadow of memory. |
●Ehixbition Information
Yumi Kori + Ikuko Konishi
Summer Dream, Infinity Device / GION
7/13 sat. – 21sun. 13:00~19:00
Gallery GION KONISH
展覧会では、「祇をん小西」のオーナー 小西いく子さんの花が、
祇園祭の遠い記憶を思い起こさせる掛け軸とともに、
床の間、玄関、坪庭に美しく生けられた。
At the Exhibition, Ikuko Konishi’s flower arrangement was installed in the gallery space,
A picture scroll with the ancient Gion Festival Memory was installed in the Toko picture alcove.