スタジオ宙

白の家・黒の家

互いに独立した所帯をもつ兄妹の2世帯住宅である。兄は白く抽象的な空間を,妹は陰影のある住まいを望んだ。そこて、性格の違う2つの世界が向き合いもせず,しかも互いに背を向けないで、地と図の関係のように同時に存在する「白の家・黒の家」という一軒の家をつくった。この2棟は、構造を一体化して共存しながらも空間として共有するものがない。2棟の隙間は、お互いの生活の緩衝空間となり、その吹き抜け部分の外壁は、それぞれのインテリアの仕上げと対応している。白の家から見える風景(黒の家の外壁)は白っぽく、黒の家から見える風景(白の家の外壁)は黒っぽくし,お互いの隙間は見る立場に応じて、白の領域になったり、黒の領域になったりする。窓から見える風景はインテリア化され、それぞれのテリトリーに融合してゆく。お互いの個性とプライバシーを保ちつつ、住まいに広がりやゆとりをもたらしてくれた。

東京都
RC造+木造 地上2階地下1階
写真/目黒伸宜(C)