スタジオ宙

しゅはり

歴史的町並みや建物を再生するということは、決して昔の姿をそのまま再現して舞台セットのような建築を作ることではない。歴史に敬意を評し、同時にそれとの距離感をうまくとりながら設計することだと思う。これは、明治中期に建てられた町家の再生である。改修前、軒は切られて看板がつけられ,大屋根の一軒家は二つの店に分断されていた。そこで、それらを解体して元来の架構を表しにし、当時の記憶をたどりながら、そこに「現代」を重ねて設計を進めた。たとえば透明な強化ガラスパネルの看板は、風景を映し込みながら内部の様子を伝え、伝統的な形である格子の半透明な性格を踏襲している。また、新しい木材は古色仕上げをせず、新旧の対比をそのまま表現した。

千葉県香取市佐原  店舗 木造平屋建(改装)
平成12年度 千葉県建築文化賞受賞作品
写真:スタジオ宙、傍島利浩(C)