カフェ しえと
明治の町家をカフェとして蘇らせた。初めてその古家を訪れた時、朽ちかけた主屋、土蔵、味噌蔵、殺伐とした中庭の風景に妙な懐かしさを感じ、まるで白昼夢の時間層に入り込んだような感覚を覚えた。そこで、その廃墟感を残しながらその風景を楽しむ設計をすることにした。伸びすぎたシュロは残し、古井戸には光のインスタレーションを施し、床には伊勢砂利を敷き詰めた。新たに土間と軒下空間も設け、店内から町の気配も楽しめるようデザインした。また、第4期工事では、味噌蔵を離れの座敷として再生した。伊勢砂利に黒く浮かんだ床は、そこに座るものを異次元に誘い込む。格子から差し込む琥珀色の陽が土壁を照らすと心地よい懐かしさが溢れてくる。
カフェしえと:千葉県香取市佐原イ-3382-3
tel0478-55-8808
佐原歴史的景観形成地区 古民家の修復再生設計
写真:スタジオ宙)