Defragmentation/red
クリプトナーレ・コンテンポラリー ・アートフェスティバル参加作品
期間:2000.9.7〜24
場所:ベルリン・プレンズラウアーベルグ貯水場跡
 
 


地下貯水場跡の暗闇の中に、赤い光を湛えた半透明の円柱を、時を刻むように配置した。床には水を呼び戻した。赤い柱光は水面にその姿を写し、波紋を残しながら歩く人の動きと呼応して、過去と未来の記憶の中にある、幻影の時間層を映しだす。光をひとつずつ数え、赤い影を追いながら、円廊をまわり、またもとの入り口に戻ってくる。あるいは、暗闇の中でそれに気づかずに通り過ぎてしまうかもしれない。そして、いま観ている光が、実像なのか、虚像なのか、あるいは、先ほど自分が数えた光なのかわからなくなる。現在の時間と記憶の中の時間が、だんだんと溶けてゆきひとつのものになる。それを何度も繰り返し、人はそのまま無限の時空の中に吸い込まれて行く。生き物の輪廻のように、時間は螺旋を描きながら無限に経過してゆくが、同時に永遠にそこにとどまっているようにも思える。ここを訪れる人は、そこに流れる始めも終わりもない瞑想的な音楽と、水面に拡がる暗闇の中に、無限の空間と永遠の時間の流れを見いだす。
この貯水場跡は、旧東ベルリンの中心地近くにある。1874年から1877年にかけてに建造され、1914まで貯水場として使われた。後に、政府衛生局の倉庫となり、第2次大戦中は、ナチの収容所や防空壕としても使われていた。ベルリンの壁が崩壊した後は、廃墟と化し,建造物の上には土が盛られ、大きな木々が繁り,外から見ると自然にできた小高い丘に見える。直径約40m、天井高約5.3m巾3.6mの回廊が6重の同心円を描いている。内部は無限の闇に包まれており、夏でもひんやりとした空気が停滞している。